脂質異常症の治療

【ポイント】
・脂質異常症の治療は”生活習慣改善の4か条”から始める。
・食生活の改善で重要なのは、日本の伝統的な食事を摂る”ジャパンダイエット”。
・減塩を心がけ、食物繊維を十分に摂り、魚を週に5〜6食摂るようにしよう。


■生活習慣の改善

どんな場合でも行う、治療の大切な第一歩

「脂質異常症」は、基準値より「LDLコレステロール値が高い」「HDLコレステロール値が低い」 「中性脂肪値が高い」という状態の、どれか1つでも当てはまれば診断が確定します。 脂質異常症は、動脈硬化を進行させる大きな危険因子の1つです。 また、動脈硬化は狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患を引き起こす最大の原因にもなります。 なかでも、動脈硬化と深く関係するLDLコレステロール値は、しっかりと管理する必要があります。 そのためにまず大切なのが「生活習慣の改善」です。 生活習慣の改善は、薬物療法を行う場合であっても、欠かすことのできない治療法です。


●生活習慣改善の4か条

体重を適正に保ち、食事に気を付ける

生活習慣の改善で大切なポイントは次の4つです。

@体重を適正に保つ

肥満は、LDLコレステロールや中性脂肪の値が上がり、HDLコレステロールの値が下がる原因となります。 適正体重かどうかは、BMI(体格指数)から求められます。

BMI = 体重[kg] ÷ (身長[m] × 身長[m])

BMIが22前後であれば、適正体重です。BMIが25以上の人は肥満と判定されるので、体重を減らす必要があります。

A食事に気を付ける

自分の適正エネルギー量を超えないように食事量を調整したり、減塩を心がけることが大切です。 また、動物性脂肪の多い食品を控えめにし、食物繊維の多い食品をたくさん摂るなど、 食事の質にも気を付ける必要がありますが、そのために適しているのは、日本の伝統的な食事を摂る 「ジャパンダイエット」です。

適正エネルギー = 身長[m] × 身長[m] × 22 × 25〜30[kcal]

B適度な運動

適度な運動を行い、蓄積した脂肪を減らしていくことが大切です。 特に有酸素運動は、中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあることがわかっています。 有酸素運動には、ジョギングや水泳などがありますが、なかでも勧められているのが、比較的無理なく安全に行える 「ウォーキング」です。1日の歩数が多い人ほど、HDLコレステロール値が高くなるという研究結果もあります。 ウォーキングは、1日30分以上行います。15分を1日2回行ってもかまいません。 周に3〜4回でも効果は得られますが、できれば毎日行いましょう。
日常生活の中でも、座ってばかりではなく、立って活動したり、階段を上り下りするなど、 できるだけ体を動かすように心掛けましょう。

【関連サイト】:『運動不足解消』

C禁煙

喫煙は、動脈硬化の危険因子であり、冠動脈疾患の大きな原因でもあります。 喫煙はもちろん、受動喫煙もできるだけ避けてください。

【関連サイト】:『禁煙』


●ジャパンダイエットとは?

食物繊維やEPAが豊富な伝統的日本食を摂ること

日本の伝統的な食事には、さまざまな利点があります。 まず、食物繊維が豊富な食材が多いことです。食物繊維は、摂取した食事からのコレステロールの吸収を抑え、排泄を促します。 野菜全般に多く含まれていますが、豆類、海藻類、キノコ類などにも豊富です。 植物に含まれる脂質の一種である「植物ステロール」や、大豆に含まれる大豆たんぱく質も、 食物繊維と同様にコレステロールの吸収を抑え、排泄を促します。 日本食には、植物ステロールや大豆たんぱく質を多く含む、納豆や豆腐などの 大豆製品も多く使われます。

日本食では、魚を多く摂取できることも特徴の1つです。魚に多く含まれる脂の一種 「EPA(エイコサペンタエン酸)」 には、中性脂肪を減らし、血栓ができるのを防いで、動脈硬化や冠動脈疾患を予防する働きがあります。 また、豚肉や牛肉の脂身、鶏肉の皮や乳製品に多く含まれる動物性脂肪は、LDLコレステロールや中性脂肪を 増やしてしまいますが、日本食にはこれらがあまり用いられません。
しかし、日本食では塩分が多くなりがちです。酸味を活用するなど、味付けを工夫して、減塩を心がけましょう。

◆食事のポイント

食生活の見直しと改善のために、ジャパンダイエットを意識しましょう。 食物繊維には、脂質異常症の場合、1日25g以上を摂るように心掛けます。 また、魚はできれば週に5〜6食以上摂ることが勧められています。 豚肉や牛肉を食べる場合は、脂身の少ない部位を選んで1食80gまでにするなど、摂りすぎないよう注意が必要です。
コレステロールの多い食品としてよく知られる鶏卵や魚卵、レバーなどの内臓類も、LDLコレステロール値が高い人は 食べ過ぎないようにします。鶏卵を例にすると、1日1個が目安になります。 また、「揚げる」より「蒸す」「焼く」といった調理法の選択にも気を配り、脂肪の摂取量を減らすことが大切です。