■高LDL−コレステロール血症の発症機序

高LDL−C血症の発症機序として、大きくLDLの産生増加と、LDLの血中からのクリアランスの低下 に分けられます。また、遺伝子異常などに伴って発症した原発性と、内臓機能障害の結果発症してきた続発性(二次性) に分けることができます。 LDL(低比重リポたんぱく)の構成アポたんぱくは、アポB100です。アポB100は肝臓で生成され、 VLDL(超低比重リポたんぱく)として分泌されます。血中でVLDLは、リポたんぱくリパーゼ(LPL) の作用でトリグリセライドが分解されて、次第にコレステロール含有量の割合が増加し、VLDLレムナントあるいは IDL(中間比重リポたんぱく)に変化します。この間、VLDLのトリグリセライドの一部と、 HDL(高比重リポたんぱく)のコレステロールエステルはCETP(コレステロールエステル転送たんぱく) により交換反応をします。VLDLレムナントあるいはLDLは、肝臓に存在する肝性リパーゼおよびLPLの作用により LDLに変化します。肝臓におけるアポB100の産生量が亢進しているとLDLが高値となります。 肝臓のコレステロール量の増加はアポB100の生成量を増加させます。


血中のLDLは、LDL受容体により細胞内に取り込まれ、血中から取り除かれます。 肝臓のLDL受容体から取り除かれる割合が大きいのですが、副腎、性腺、その他の臓器にあるLDL受容体からも 取り込まれています。LDLはコレステロールの供給をしていることになります。 LDLが酸化され、酸化変性LDLとなると、LDL受容体に結合できなくなり、 スカベンジャー受容体などの酸化LDL受容体から取り込まれるようになります。

LDL受容体の活性が低下すると、血中にLDLが停滞し、高LDL−C血症が引き起こされます。 LDL受容体の遺伝子異常で先天的にLDL受容体が低下し、高LDL−C血症が認められる病気が 家族性コレステロール血症です。 LDL受容体活性は、細胞内のコレステロール濃度によって調節されています。 肝臓の細胞でコレステロール量が増加すると、LDL受容体活性を抑えて、血中からのLDL−Cの取り込みを 抑制します。一方、肝細胞内のコレステロール量が少なくなると、LDL受容体の活性を高めて、 LDL−Cの取り込みを増加させます。腸管における胆汁酸の再吸収を抑制すると、 肝臓でコレステロールから胆汁酸への変換が促進され、肝細胞内のコレステロール量が減少してLDL受容体活性を 高めることがわかっています。細胞内では、コレステロールが生合成されていますが、コレステロール生合成系の 律速酵素であるHMGCoA還元酵素を阻害すると、細胞内のコレステロール濃度が低下し、 LDL受容体活性が亢進することが見出されています。 エストロゲンもLDL受容体活性を高める働きがあります。


また、小腸におけるコレステロール吸収機序が新しく解明されました。 小腸でNPC1L1(ニーマンピックC1様L1たんぱく)と呼ばれる装置がコレステロールの吸収に関与しています。 最近、このNPC1L1を抑制する薬物が発見されました。この薬物を人に投与したところ、 コレステロールの吸収が50%ほど抑制され、LDL−Cの血中濃度が低下することが観察されました。 コレステロールの吸収を抑えて、LDL−C濃度を低下させる食事因子として、 水溶性食物繊維、植物ステロールなどが挙げられます。
肝臓でのアポB100の合成が亢進し、高LDL−C血症を引き起こしていると考えられている病気が、 家族性複合型高脂血症です。