高LDLコレステロール・高中性脂肪対策によい食品『ニンニク』

ニンニク』に含まれている「アリシン」という成分には、強い抗酸化作用があり、活性酸素を撃退します。 血中の脂質代謝も促され、血液をサラサラにする効果を発揮し、動脈硬化を予防します。 また、アリシンに低温処理を加えて抽出する「アホエン」という無臭成分は、 悪玉コレステロール中性脂肪を減らすのに効果が大きいとされています。


■高脂血症&脂質異常症

高脂血症は心筋梗塞や脳梗塞・動脈瘤も招く

健康診断などの血液検査で、悪玉(LDL)コレステロール値か中性脂肪値が異常に高い、 あるいは善玉(HDL)コレステロール値が異常に低いと指摘されたことはないでしょうか。 悪玉(LDL)コレステロール値か中性脂肪値の数値が基準値を超えると、 『高脂血症』と診断され、それに、善玉(HDL)コレステロール値が低い場合を加えると 『脂質異常症』診断されます。

コレステロールには悪玉と善玉の2種類があることは、よくご存知かと思います。 悪玉コレステロールは、コレステロールを全身に運ぶ運搬役、善玉コレステロールはそれを肝臓へ戻す回収役を担っています。 悪玉コレステロールも善玉コレステロールも私たちの体に必要不可欠なものですが、 肉類が多くて野菜類が不足した食生活や運動不足、過度の飲酒などの生活を続けていると、 両者のバランスが崩れてしまいます。そして、血液中に悪玉コレステロールが過剰に増えれば、動脈硬化が急速に進むことになります。

一方の中性脂肪は、主に筋肉のエネルギー源として利用されます。 しかし、糖分やアルコールの摂り過ぎ、運動不足などで血液中に中性脂肪がだぶつくと、肥満を招いたり、 善玉コレステロールを減らしたりして動脈硬化の進行に拍車をかけてしまいます。

過剰なコレステロールや中性脂肪が招く動脈硬化は、血管の内腔(内側の空間)を狭めて血液の流れを妨げたり、 血栓を作ったりして、心筋梗塞や脳梗塞、肺塞栓症、動脈瘤、手足の壊疽(組織が死んで黒く変色すること) などの重大な病気につながります。このような病気を防ぐために、脂質異常症を指摘されたら、 できるだけ早く過剰な悪玉コレステロールと中性脂肪を減らすべきです。


●ニンニク

WHOも認めるニンニクの効果

これまで、悪玉コレステロールと中性脂肪を減少させる効果的な方法を発見するために多くの研究が行われてきました。 そんな中、血液中の過剰な悪玉コレステロールや中性脂肪を減らして血液年齢をグンと若返らせ、 血管も若々しく保って血流を促してくれる特効食として、『ニンニク』が注目を集めています。 ニンニクは、米国の国立癌研究所が癌予防食のトップに位置づけて積極的に食べるように推奨しているのを 知っている人は多いと思いますが、脂質異常症や動脈硬化、血栓の予防に効果があることも明らかになっているのです。 実際に、WHO(世界保健機構)は、ニンニクの持つ脂質異常症の治療効果や動脈硬化の予防効果を認めています。 欧州でも、ニンニクの成分が動脈硬化の治療薬の原料として使われています。 血液や血管を若々しく保つニンニクの優れた効果は、以前は、刺激臭のもととなる硫黄化合物のアリシンによるものと 考えられてきました。しかし、研究が進むにつれて、アリシンの効果は抗菌作用に限られることがわかりました。 そして、1984年、動脈硬化の予防に著効のニンニクの特効成分が、米国ニューヨーク州立大学のブロック教授の研究で ついに突き止められ、「アホエン」と命名されたのです。 それからというものの、アホエンに関する研究が世界中で行われ、さまざまな病気の予防・改善に効果を発揮することが、次々と確認されています。


●アホエン

人の試験でも効果を確認

「アホエン」は約20年前に、米国ニューヨーク州立大学のブロック教授によって発見されました。 しかし、このときに報告されたアホエンの効果は血栓を防ぐ働きだけでした。 アホエンに悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす効果があることは、当時から推測されていましたが、 実際にその作用が確かめられたのは、日本の企業が最近行った実験でした。 実験では、アホエンを投与したマウスと投与しなかったマウスで血液中の脂肪の量を比較しました。 その結果、アホエンを投与したマウスは、総コレステロール値が3〜15%も低く抑えられていたのです。 そこで、この実験に引き続いて、アホエンを人間が摂る試験も行われました。 その結果、アホエンを継続的に摂取すると、悪玉コレステロールや中性脂肪値が低く抑えられることが確認されています。

◆効力が数時間続き、副作用もないアホエン

血液中の脂質を減らすアホエンの効果は、次の2つの作用で説明できます。
まず一つ目が、食事で摂った脂肪の分解を抑える作用です。 アホエンには、胃や腸で分泌される脂肪分解酵素の一部の働きを妨げ、脂肪の分解を抑える作用があります。 脂肪の分解が抑えられれば、体内に吸収される脂肪も大幅に減るため、悪玉コレステロールと中性脂肪は減少する、というわけです。
二つ目は、肝臓で行われている悪玉コレステロールの合成を阻害する作用です。 体内に存在する悪玉コレステロールのほとんどは肝臓で合成されますが、その際に最も重要な役目を果たす酵素として、 HMG−CoA合成酵素とHMG-CoA還元酵素があります。この2つの酵素がうまく働かないと、肝臓内で悪玉コレステロールを合成することができません。 アホエンには、この2つの酵素の働きを抑え、悪玉コレステロールが過剰に作られるのを防ぐ作用があると考えられています。

以上のことからアホエンは、悪玉コレステロールと中性脂肪を減らす特効成分として注目を集めています。 アホエンはそれ以上分解されない成分なので、非常に安定しています。 そのため、アホエンは体内に入ると効果が数時間ほど持続すると考えられています。 また、アホエンは少し多めに摂っても副作用のないことが動物実験で確かめられているので、安心して摂れるでしょう。


◆癌やボケの予防にも効果

ちなみに、アホエンには血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させる働き以外にも、 次のような働きが認められています。

▼抗癌作用
免疫力を強めて、細胞が癌化するのを防ぐ。
▼抗菌・抗真菌作用
胃潰瘍の原因とされるピロリ菌をはじめ、風邪のウィルス、水虫の原因となる真菌(カビ)、食中毒などを退治する。
▼強肝作用
肝機能を高め、解毒力を強めたり、脂肪肝や肝炎を防いだりする。
▼疲労解消作用
疲労物質の乳酸が体内に蓄積するのを防ぐ。
▼脳の活性化作用
脳の神経伝達物質の一つであるアセチルコリンの量を増やして、やる気や記憶力をアップさせたり、 ボケ(認知症)を予防したりする。

以上、アホエンの作用のいくつかはニンニクの刺激臭のもととなる「アリシン」にもあります。 しかし、アリシンは非常に不安定な物質で、空気中ですぐ分解され、最終的には匂いも効果も失われてしまいます。 このことを考えても、安定していて、効果も持続するアホエンの摂取をお勧めします。

◆手軽に補える「アホエン」

アホエンは、アリシンを母体とする脂溶性(油に溶けやすい性質)のイオウ化合物ですが、 生のニンニクにそのまま含まれているのではなく、アリシンを25〜100℃の低温で加熱したときに発生します。 面白いことに、アリシンは水溶性(水に溶けやすい性質)ですが、アホエンに変化すると脂溶性になります。 それと同時にニンニク特有の刺激臭も消えるため、アホエン自体は無臭です。 アホエンはアリシンを低温加熱することで発生するため、ニンニクを生のまますりおろしたり、酢漬けにしたり、 高温で調理して食べてもほとんど摂取できません。

アホエンを効率よく摂るには、刻んだ生のニンニクを食用油につけて、低温で温めるだけで手作りできる 「ニンニク油」を利用するのがいいでしょう。アホエンは脂溶性のため、低温加熱したニンニクを 食用油に漬けておけば、ふんだんに抽出されるのです。 ニンニク油は密閉容器に入れて冷暗所で保存すれば、1ヶ月は持ちます。 パスタやスープ、味噌汁、サラダに垂らしたり、パンにつけたりして、1日に小さじ1杯(5ミリリットル)分を目安に摂るようにしましょう。 なお、ニンニク油を作るのが面倒だという人は、ドラッグストアや通信販売で市販されているニンニク油のサプリメントを利用してもいいでしょう。


●最後に

アホエンの多彩な健康効果は広く注目を集め、現在では、高LDLコレステロールや高中性脂肪を治す食事指導の一環として、 患者さんにニンニク油の常食を勧める医師が増えています。 そして、実際に、ニンニク油で検査値の数値が改善した症例が数多く報告されています。